千種議員は、2026年9月定例会の一般質問で、「縮充」のまちづくりの範囲と住民への浸透、地域経済・産業振興、公共施設の縮減計画の進捗について質問しました。
対して佐用町は、「縮充」は人口減少への諦めではなく「いつまでも安心して暮らせるまち」を目指すための手段であり、住民への丁寧な説明を続ける考えを示しました。
再質問では、地域経済との両立、美咲町など他自治体との比較、視察受入れの有料化、公共施設縮減目標の妥当性をめぐってやり取りが行われました。
質問要旨
千種議員は、「縮充」のまちづくりについて、次の論点から質問した。
- 「縮充のまちづくり」の範囲と分野
地域づくり協議会や自治会運営など住民自治の部分を指すのか、町の将来展望や自治体運営など行政の部分を指すのか - 住民への浸透
7月12日開催の「縮充フォーラム2026」(山崎亮氏が「縮住を進める佐用町へのエール」と題して講演)について、参加者には肯定的な評価がある一方、経済活動が軽視されているのでは、縮充は消極的・諦めの施策ではと受け取る住民もいるとして、考え方の伝え方 - 地域経済・産業振興
「仕事がない」という声がある一方、事業所からは「求人に応募がない」という声もあるとして、仕事ニーズのミスマッチへの対応や、地域内での経済循環と町外からの所得獲得の両立、若者・子育て世代の仕事と生活の確保 - 公共施設・公営住宅の縮減
公共施設等総合管理計画(令和22年度までに面積15%縮減)と公営住宅長寿命化計画の進捗状況、将来負担の考え方
あわせて、山崎氏が提唱する「面識経済」(顔の見える関係を土台に地域内でお金や仕事が回るあり方)を中心にして、佐用町の経済が回ると考えるかも尋ねた。
当局答弁要旨
企画防災課長は、縮充の概念は地域づくり協議会の見直しを進める中で生じた課題への対応から出発し、経済や農業など佐用町全体に関わる問題として、令和5年度から町全体の取り組みになったと説明した。縮充は目的そのものではなく、まちづくりの手段と位置付けているとした。
江見町長は、縮充の目指す姿は「いつまでも安心して暮らせるまち」だと説明した。人口減少の緩和策は最大限続けながら、避けがたい人口減少には諦めるのではなく、暮らしを維持・充実させるために地域全体で適応していく考え方だと述べた。一方で、考え方が十分に浸透しておらず、言葉だけが独り歩きして分かりにくく、哲学的に受け取られる面があるとの認識を示した。
地域経済については、町長は商工業、農林業、観光業など既存産業の振興と、地域・時代に合った新産業の振興を重要課題とした。町内で生まれた所得・価値を町内で循環させることに加え、町外に売る力を持って所得を呼び込み、それを町内で循環させる視点も重要だと説明した。
施策例としては、次のものを挙げた。
- 実証実験中の林業施業
- もち大豆のGI登録による高付加価値化
- 事業承継・副業による事業継続
- 異業種参入、官民連携
また現在は商工業者等を対象としたアンケート調査を実施中で、結果を踏まえて支援施策を検討する考えを示した。若い世代に町内の仕事や働き方、働く人の思いを伝えるため、中学2年生のトライやる・ウィーク、佐用高校生のインターンシップ、商工会青年部によるトライアルキッズなどの取り組みを継続するとした。
公共施設については、総務課長が令和7年度末時点の縮減率は5.38%、施設数は当初153施設から139施設になったと説明した(更新・建て替えで面積が増えた事例として味わいの里の加工施設を挙げた)。衛生公園の除却は予算計上したものの、補助金の事情で先送りとなった事例も紹介し、今後の除却は補助金の採択状況などによって遅れる可能性があるとした。
公営住宅については、商工観光課長が入居率が64%まで低下しているとし、老朽化や需要の低い住宅は用途廃止とする方針を説明した。
- 下上月住宅 令和6年度に1棟を除却し、令和8年度にもう1棟の除却を計画
- 空き室 日本語学校の学生寮や事業所の社宅など、目的外使用による有効活用も進める
町長は、公の施設の廃止後5年以内であれば、充当率90%・交付税算入率50%で除却に活用できる公共施設等適正管理推進事業債(公適債)があると説明し、今後は学校・保育園を含む廃止施設について、除却も選択肢として検討せざるを得ないとの認識を示した。
再質問・再答弁
再質問で千種議員は、フォーラムについて、自治会運営などに携わる役員層からは「素晴らしい講演だった」と高評価がある一方、「この町で今後経済活動をしながら暮らしていけるのか」と不安を持つ住民もいるとして、「縮充」がネガティブに受け取られていないか質問した。
これに対し江見町長は、縮充は手法であり、目指す姿は安心して暮らせるまちだと改めて説明し、言葉だけが先行してしまっている面は否めないとした。人口減少に悲観的に嘆くのではなく、充実した生活を守るためにどう変わっていくかを、皆の参加を得ながら考えていきたいと述べた。
面識経済を中心に町の経済が回るかとの質問には、町長は地域内経済循環そのものは間違った方向ではないとしつつ、久崎工業団地など町内の事業所は町外との取引が大きいところもあり、地域内循環だけで経済が成り立つとは考えていないと説明。人材確保への支援を検討している考えを示した。
千種議員は、経済系の全国誌で佐用町と美咲町(岡山県)の取り組みが並んで紹介されたことに触れ、美咲町は「スマートシュリンク=賢く収縮」として次のような成果を出しているとして、佐用町との違いはどこにあるのか質問した。
- 公共施設68棟の解体・除却と約20棟の売却
- 町役場隣への施設集約による物産センターの売上倍増、図書館利用4倍、公民館利用7倍
- 企業版ふるさと納税の獲得
町長は、美咲町はハード面の再編が注目されている一方、佐用町は人口減少時代に適応する仕組みづくりなどソフト面を中心に進めており、外部からは分かりにくい面があるとの見解を示した。佐用町も近年視察が増えているとし、有料化の検討意見が庁内にあることを明かした。千種議員は、西粟倉村の1泊2日研修15万円や真庭市の有料視察コースを例示し、視察受入れを地域の仕事づくりにつなげてはどうかと提案した。
「縮充ブック」の3事例(消防団活動の見直し、会議の進め方の変化、若者チャレンジ支援)では住民への訴求力が弱いのではとの指摘には、町長は、3事例はあくまで分かりやすい一例であり、ほかにも老年クラブの会長に集中していた会議出席を役員で分担する見直しや、多面的機能支払交付金の作業を特定役員だけで回すのをやめ、やる気のある人が参加しやすくする取り組みがあると紹介した。「前例踏襲ではなく、変わっていい」ことを伝えていきたいと述べた。
公共施設縮減計画について千種議員は、人口減少が進む中で15%縮減の目標で足りるのか、計画策定時の試算では維持管理経費が年間約6.7億円から約3.7億円に減ると見込まれていたが現時点でどう捉えているか質問した。総務課長は、目標期限の令和22年度まで約15年の余裕がありおおむね順調との認識を示した。将来負担については、物価高騰の影響はあるものの、少しでも負担を減らせるよう努めたいと答えた。
住民参加については、フォーラムやさようミライカイギに毎回同じ顔ぶれが出席している傾向に触れ、より多くの住民に考え方が伝わる取り組みが必要ではないかと質問した。町長は、繰り返し参加する住民はありがたい存在だとしつつ、先般のさようミライカイギではこれまであまり見られなかった層の参加もあったとし、参加の裾野は少しずつ広がっていると述べた。
最後に千種議員は、縮充に反対しているわけではないとし、住民への取り組みや成果の見える化・情報発信をしっかり行い、一部の住民に残るネガティブな受け止めを払拭して、住民が希望を持てる「より心豊かで幸せと思える町」を目指してほしいと述べ、質問を締めくくった。
主な論点
- 「縮充」のまちづくりの範囲と位置付け(住民自治と行政)
- 住民への浸透と、ネガティブ・消極的という受け止めの払拭
- 地域内経済循環と外貨獲得の両立
- 若者・子育て世代の仕事と生活の確保
- 美咲町など他自治体の取り組みとの比較
- 視察受入れの有料化など、地域の仕事づくりへの活用
- 公共施設の15%縮減目標の進捗と将来負担
- 公営住宅の除却と空き室の有効活用
- 住民参加の裾野を広げる取り組み
