重田直人議員は、2026年9月定例会の一般質問で、PPP・PFIの活用と、縮充のまちづくりを支える持続可能な財政運営について質問しました。
対して佐用町は、地方債残高を合併時から約112億円余り圧縮するなど現状の財政は健全に維持されているとしたうえで、依存財源の比率が高く、大型事業の負担を踏まえると財政見通しを楽観視できる状況にはないと説明しました。PFIによる新たな施設建設については現時点で想定していないとの考えを示しました。
再質問では、将来の施設更新負担、笹ヶ丘荘や南光自然観察村の民間移管の可能性、指定管理者制度の運用をめぐってやり取りが行われました。
質問要旨
重田議員は、財政力指数が0.3を下回る水準で推移し、公共施設の更新需要、上下水道施設の維持更新、公債費負担、物価高騰対応などが重なる中、民間の資金・ノウハウを生かす官民連携の視点が必要だとして、次の3点を質問した。
- 本町財政の現状認識と今後の財政見通し
- 公共施設・上下水道分野を含むPPP、PFI等の導入可能性と今後の検討の方向性
- 縮充のまちづくりを支える持続可能な財政運営の考え
当局答弁要旨
江見町長は、財政の現状について、合併以降の人件費削減を含む行財政改革や繰り上げ償還の結果として、次の説明を行った。
- 地方債残高 平成18年度の約196億7,000万円から、令和7年度決算見込みで約84億7,000万円(約112億円余りを圧縮)
- 基金 令和7年度末に約110億円を確保する見込み
- 実質公債費比率 マイナス0.7%、将来負担比率 マイナス137.9%で、県内でも比較的良好な水準
一方で、財政力指数が近年0.3を下回り、歳入総額に占める地方交付税の割合が約半分に達するなど依存財源への依存度が高い構造が続いているとし、三位一体改革級の国の制度改革があれば影響が大きいリスクを指摘した。加えて、合併特例債は令和7年度で終了、過疎対策事業債や辺地対策事業債の配分は要望額の7割程度にとどまっていると説明した。
今後の懸念として、令和9年度から実施予定の西播磨クリーンセンター長寿命化事業は基幹的改良の総事業費が100億円を超える規模と見込まれ、本格的な工事が集中する令和11・12年度には多額の財政負担が生じるとした。過疎対策事業債が主な財源だが必要額には足りず、基金の取り崩しや他の事業の先送りが余儀なくされる事態が懸念されると述べ、現状の財政指標は良好なものの、財政見通しを楽観視できる状況にはないとの認識を示した。
PPPについては、町ではすでに次の形で官民連携を進めていると説明した。
- 指定管理者制度 味わいの里三日月、養護老人ホーム朝陽・朝霧苑など17施設を14団体が管理運営
- 財産の貸付け 旧神崎保健福祉センターなど、公の施設としての役割を終えた施設を民間事業者等に貸し付け。南光スポーツ公園第1テニスコート跡地の利活用も今年度実施
- 官民共同事業 旧木村邸・旧木村酒造場を宿泊施設やレストラン等へ改築した活用事業など
一方で、PFI方式による新たな施設建設は、現時点では想定していないと答弁した。上下水道分野では水道施設を平成24年から、下水道施設を供用開始時から民間委託しており、コンセッション方式については規模が小さく採算性の確保が難しいこと、定住施策の観点から料金抑制を重視していることから、現時点での導入は困難との考えを示した。
縮充のまちづくりについては、ハード面では上月文化会館と三日月文化センターを除却して機能を統合し、三日月地域交流センターを整備したほか、直売所や加工所の集約、小中学校・保育園の規模適正化、下水道施設の統合などに取り組んできたと説明。令和7年度からは公共施設等適正管理推進事業債(公適債)を活用することで、除却後の交付税算入措置が受けられるようになったとし、民間利活用のメリットがない場合や老朽化が進んだ施設では、地域との丁寧な合意形成を図りながら除却も含めて検討するとした。
そのうえで、ダウンサイジングを徹底し、集約化・統合・除却で将来の維持管理コストを削減すること、繰り上げ償還や基金の計画的な積立で財政の弾力性を確保すること、官民連携で行政コストの削減を図ることを基本に財政運営に取り組む考えを示した。
再質問・再答弁
再質問で重田議員は、経常収支比率が直近の決算で83.1%であることに触れ、目安とされる75%程度まで改善が必要だと指摘した。また、公共施設等総合管理計画の今後40年の更新計画では現時点の進捗が約5%である一方、これまでの投資的経費から見て公共施設で3.64倍、道路で1.93倍、上下水道で4.5倍の費用が将来かかる可能性があり、具体的な試算があるのかと質問した。
これに対し総務課長は、根拠を持って維持できるとは現段階では言い難いとしつつ、計画的に公共施設の縮減を進めることで対応したいと答えた。江見町長は、総合管理計画の数値は総務省から提供された試算ソフトによるもので、法定耐用年数通りに更新しているわけではないため、実際にこれだけ要るとは限らないと説明。この計画の中で住民負担の増加を検討しているわけではないと述べた。
重田議員は、選挙に向けてではなく十年・二十年の中長期的に財政がどう動くかを踏まえて施策の総論を考えてほしいと述べた。
そのうえで各論として、笹ヶ丘荘をPFI等で民間に出す可能性はないかと質問した。商工観光課長は、同施設が一般会計からの繰入金で年間4,500万円の赤字を抱え、建物も30年以上が経過していると説明。宿泊規模は最大40名程度で、指定管理での公募も検討したが有力な事業者が見つからず、上郡町やたつの市の町営宿舎の指定管理では苦労や料金の高額化が聞かれるとして、採算性の面で大きな課題があるとの見解を示した。
重田議員は、民間移管を希望する事業者があることを踏まえ、賄い材料費が約2,900万円に対し飲食売上が約2,000万円と原価管理が機能していない実態を指摘した。そのうえで、決算資料をより細かく作成することや、サウンディング型市場調査で事業者側の活用アイデアを募ることを提案した。課長は原価率の確認やメニュー価格の見直しなどの努力に言及しつつ、詳細を検討したいと答えた。
南光自然観察村については、会計がほぼトントンであれば経営希望者はいるのではないかとして民間移管の考えを尋ねた。課長は、令和4年度には黒字だったものの、その後の利用者減少で令和7年度に約900万円の赤字となっていると説明し、民間の経営能力を取り入れながら新たな経営方策を検討したいと答えた。重田議員は、全ての施設を当局が抱えるリスクも踏まえ、可能な部分から外に出してほしいと述べた。
味わいの里三日月の指定管理者(株式会社元気工房さよう)については、指定管理料の負担が大きいことや、指定管理者の指定は原則として議会の議決を経るのが通例として、その議決に関する事実関係を質問した。井土農林振興課長は、同社が旧町単位の直売所を統合して設立された第三セクターであり、指定管理料ゼロを目標に年々減額に努めていると説明。議決の件は、令和2年9月議会で議案第92号から94号により契約移転の議決を経ていることを確認した。町長も、第125回3月議会でふれあいの里上月、南光ひまわり館、味わいの里三日月の指定管理者指定が可決されたことや、一斉更新の場合は5年の期間としていることを補足した。
町長は総論として、民間の力が入って良い方向に進むのであれば積極的に民間活力を入れるべきだとの考えに賛成だとしつつ、道の駅宿場町ひらふくで株式会社カノネが指定管理料を減らしながら努力している事例を挙げた。その一方で、指定管理には相応の指定管理料がかかること、上郡町やたつの市では民間委託された事業者が撤退した事例があること、ごみ収集を自前で行う町の職員が災害時に目を見張る働きをしたことなどにも触れ、民間委託が全て良いわけではないので、施設・業務ごとに慎重に可否を検討したいと述べた。
最後に重田議員は、指定管理ではなくPFI・コンセッション方式(スモールコンセッション方式を含む)について、津山市や美咲町の実例に触れながら、経営で得た利益は民間に残す仕組みもあるとして、民間の資金や技術力を活用する観点での検討を求めて質問を締めくくった。
主な論点
- 佐用町の財政現状(地方債残高の圧縮、財政指標)と依存財源構造のリスク
- 西播磨クリーンセンター長寿命化事業など大型事業による将来負担
- PPP・指定管理者制度、財産貸付け、官民共同事業の実施状況
- PFIやコンセッション方式の導入可能性
- 笹ヶ丘荘の赤字構造と民間移管・サウンディング調査の必要性
- 南光自然観察村の経営方策
- 味わいの里三日月の指定管理者指定の議決と経営改善
- 民間委託と公営の使い分け(ごみ収集の例)
- 縮充のまちづくりと財政弾力性の確保
